【第75話】たまには思い出話でも

2011年の一月。

 

銀行の融資も止められ

 

弟と一緒に積み立てていた

 

保険も内緒で解約したり

 

なりふり構わず店を回していた。

 

 

借り手は返し借り手は返し

 

もはや自転車操業状態だった。

 

 

 

家賃が払えない・・・

 

 

二月は営業日数が

 

少なく払う現金がなかったのだ。

 

 

店の裏口に回り

 

携帯で弟のところに電話した。

 

 

「少し貸してくれないか?」

 

 

すると弟は

 

「返せるの?」

 

と冷たく言い放った。

 

 

何度も何度も頼みに来る

 

俺に業を煮やしたようだった。

 

 

情けないが

 

それでも頼んで貸してもらった。

 

 

 

そして月末になると

 

決まったように

 

17時半ごろに携帯がなる。

 

 

「融資した一万円の

 

支払いがまだなんですが?」

 

 

 

たった一万円も払えない。

 

 

そんな毎日だったから

 

気持ちも晴れなかった。

 

 

ある日の事、ふと考えた。

 

週一回の休みがある。

 

 

その日に直子と二人で

 

営業して金を作ろうと。

 

 

これから三年の間に渡って

 

休まず営業する事になるとは

 

思ってなかった。