【第74話】たまには思いで話でも

あれは・・

 

今から8年前だろうか

 

その当時は

 

四川料理の店を営業していた。

 

 

 

店の状況は、おもわしくなく

 

借金が膨らむ一方で

 

俺は毎日自分に

 

イライラしていた。

 

 

 

ランチ営業、夜の営業と終わり

 

劉さんと俺と直子が

 

最後に後片付けをしていた。

 

 

 

今なら考えられないが

 

テーブルを一生懸命に

 

拭いている直子に

 

 

「いいよ!もう帰っても。」

 

「あとはもうやんなくて!」

 

 

と八つ当たり気味に強い好調で

 

言ってしまった。

 

 

 

静かに身支度をして帰る直子。

 

 

その頃は自分にも

 

イライラしていたし

 

人にもイライラしていた。

 

 

情けない話だが事実だ。

 

 

 

たいして忙しくない店の後片付けが

 

終わり重い足取りで

 

自宅についた。

 

 

 

直子はすでに寝ていた。

 

 

ふと見るとテーブルの上に

 

 

 

置手紙があった。

 

 

 

開けて読んでみると

 

 

「愛されてないなら

 

私は出ていきます。」

 

 

「持ち金が一銭もないので

 

少しください。」

 

 

 

 

それを読んだ瞬間に

 

俺は我に返った。

 

 

なんてことをしたんだと。

 

 

 

すぐに扉をあけ

 

寝ている妻に謝った。

 

 

俺が悪かった。ごめん。

 

これからも一緒に居てくれ!

 

と頼み込んだ。

 

 

直子は無言で頷いた。

 

 

あれから8年。

 

一緒にいてくれるだけでありがたい。