元旦に

この時期になると

 

なぜか思い出すのだが・・

 

 

 

火鍋屋にリニューアルして

 

直ぐの年末

 

どちらからともなく

 

「元旦の営業はどうする?」

 

と言う会話になった。

 

 

年末の営業も今ひとつパッとせずに

 

すでに金は回らず

 

カードの枠も使い果たし

 

来年はどうなるんかなぁ・・

 

 

と思っていた頃だ。

 

 

すっかり自信喪失していた

 

俺は曖昧な返事をした。

 

 

 

すると直子が

 

「開けるだけ開けましょうよ!」


 

 

俺は・・



「まぁ・・そうだな」

 


と気のない返事をした。

 

 

元旦の朝。仕込みはない。

 

そりゃそうだ。

 

閑古鳥の鳴く店だったからだ。

 


五時開店。

 

 

今よりも寂れた店の周りには

 

違法駐車があるぐらいで

 

人も歩いてなかった。

 

 

 

六時。誰も来ない。

 

来る気配もない。

 

 


直子は店の中を雑巾で拭いていた。

 


俺は厨房で立っていた。

 

 


六時半。

 

 

どちらからともなく

 

「7時半まで待って

 

誰も来なければ帰ろうか・・」

 

と言った。

 

 

 

そして7時。

 

自動扉の扉が開いた。

 

 

「営業してますか?」

 

男性が立っていた。

 

 

五人組の。

 

 

 

俺と直子は顔を見合わせて

 

 

「いらっしゃいませ!!!」

 

 

と言った。

 

 

 

あれから5年経ったが

 

元旦に来た五人組の男性たちは

 

最来店しなかった。

 

 

どうして、うちの店に

 

来たのかも分からない。

 

 

 

今考えると服装からして

 

看護士さんだったんじゃないかなぁ・・

 

なんて直子と話をする。

 

 

たった一組だったが

 

俺と直子の心の中で

 


店開け続けてれば

 

なんとかなるかもしれない

 

 

と言う気持ちが

 

芽生えたのは言うまでもない。

 

 

その気持ちは

 

その後三年間続く事になったのだ。

 

 

今年も元旦営業から。

 

そして今では予約で埋まる。

 

 

ありがたい事です。