今だから書ける事。

直子が猫のチャビィに親指を噛まれた。

 

ほんの小さな傷だった。


消毒しとけば直るだろ。

 

そんな風に思っていた。

 


一日たちチャビママの手に

 

異変が起こった。

 


あきらかに手が腫れている。

 


その日は連休の休日前で

 

店は大忙しだった。


「どうだ?」

 

と聞くと

 

「手の腫れが・・広がってる気がする」

 

とチャビママが答えた。

 


本来、楽天的な俺も何か変だ。

 

と思い始めた。

 


フェイスブックに休日でも

 

開いてる病院ありますか?

 

 

と投稿した。

 


するとイオンタウンのクリニックが

 

営業してる事がわかった。

 


明日、朝一番で行こう。

 

 

と二人で話した。

 


チャビママの手を見ると

 

営業前より赤い部分が

 

手首あたりまで来ていた。

 

 

やな予感がした。

 


しばらくしてダイレクトメールが来た。

 


知り合いの看護師菊地さんからだ。

 


手の状態を写真で送ってください。

 


すぐに返事が来た。

 


わたしの勤務先に行きましょう。


手当てをしたほうがいいです。

 

車で迎えに行きます。

 


俺は、何もする事が

 

出来ず言葉に従った。

 


病院までの道で

 

菊地さんがこう言った。

 


わたしは、すべての人を助けたいんです。

 


休日なのに、休んでたのに


自家用車で病院に連れて

 

行ってくれる菊地さんに

 

返す言葉が無かった。

 


その日の病院は

 

人の生と死が扉一つ隔てて起きていた。

 

 

非番の菊地さんも懸命に

 

手伝っていたようだった。

 


すべての治療が

 

 終わったのが朝方だった。

 


薬をもらい

 

店まで送ってもらった。

 

 


京成船橋の駅前で俺は思った。

 

 

 

俺たちが寝てる間に人の命を

 


なにがなんでも助ける

 


わたしにできる事なら

 

なんでもする。

 

 

と思い

 

日夜戦っている人がいる事を。