心残り・・。

リニューアルする前の事だった

 

その日は土曜日でランチタイムに

 

火鍋つけ麺をだしていた。

 

年配の夫婦が入ってきて美味しそうに食べていた。

 

次の週も夫婦で来店して辛い料理を食べていた。

 

また次の週も・・・そんな事が続いた。

 

大震災のあと

 

四川料理屋から火鍋専門店にリニューアルした。

 

99%の常連が劉さんのお店か

 

他店に行ってしまった。

 

閑古鳥が鳴く店のドアーが開いた。

 

リニューアルする前に来ていたご夫婦だった。

 

火鍋を食べてくれた。

 

あの頃の火鍋はマダマダ

 

満足行くものではないが

 

「がんばってね」と声をかけられた。

 

正直嬉かった。

 

厨房で一人男泣きした。

 

 

店の名前も

 

新四川料理 三国

 

四川火鍋 三国

 

四川火鍋 さんごく

 

四川火鍋 みやま に変わった。

 

それでも・・その夫婦は来てくれた。

 

友人を連れてきたり息子を連れてきたり

 

来るたびに

 

「美味しいわ!」とか

 

「がんばってるわね」とか

 

「身体にきをつけてね」とか

 

暖かい声をかけてくれた。

 

ある時・・俺は気づいた。

 

奥様の元気がないように感じた。

 

いつも小奇麗にされている方の

 

髪の毛が少しほつれていた・・。

 

次の週は来なかった・・。

 

また次の週も・・・。

 

一ヶ月以上も来なくなった・・。

 

すると・・電話が鳴った。

 

「一人なんですけど・・いいかしら・」

 

もちろん即答で

 

「大丈夫です!!」

 

と答えた。

 

火鍋を美味しそうに食べてくれた。

 

帰るときに

 

「最近・・元気がないように見受けられますが・・」

 

と思い切って聞いてみた。

 

すると

 

「わたし・・心臓が悪いんです。」

 

「ごまかしながら来たのですが・・」

 

「一ヵ月後ぐらいに手術しようとおもいます。」

 

「今は検査の段階なんです・・。」

 

不安そうな顔をしていた。

 

 

それから二週間後

 

「今日は席は空いてますか?2名なんですが」

 

と電話があった。

 

満席で席を用意できなかった。

 

それから・・二ヶ月以上経つが・・電話はならない・・。

 

毎日、電話がなるのを心待ちにしている。

 

頼むから・・「今日はだいじょうぶかしら?」

 

と電話を掛けてきて欲しい。