【第60話】人物編(氷堂雅也さん)

常に全力投球の氷堂さん
常に全力投球の氷堂さん

ニュースレター制作会社の社長である木村さんが

 

「秋葉原の帝王をつれてきます!」

 

と言っていた。

 

俺とチャビママは・・「秋葉原?帝王?」

 

どんな人なんだ?

 

と思っていた。

 

予約の時間になると

 

木村さんがいつもと同じように

 

「お世話になります!」

 

と元気のいい声で

 

ハックルベリーが被るような

 

帽子を被って扉をあけた。

 

その後ろに・・少し・・

 

うつむき加減で・・入ってきた男性がいた。

 

姿は・・つんつんヘアで

 

その髪の毛の色は白髪のような金髪のような感じだった。

 

 

それが後に週に一回は俺とチャビママが

 

電車に乗って通うようになった

 

【西船橋 鉄板焼き・お好み焼き やのや】さんの

 

名物店主 氷堂雅也さんとの出会いだった。

 

 

木村さんと来た後に何度か来店するようになった。

 

 

年齢不詳な感じがあったが

 

話をしているうちに40歳前後ではないか?

 

と言う気がしていた。

 

その当時雅也さんは秋葉原で

 

キャッスルというバーを経営していた。

 

かなりの人数が入る大箱の店らしかった。

 

彼は少し悩んでいた。

 

火鍋を食べながら・・ボソッと・・呟いた。

 

「20席前後なら自分の店を好きなお客さんだけでも」

 

「経営していけるんですが」

 

「大きいお店なんで・・どうしても・・」

 

「その他大勢のお客さんを集客しなくてはなりません。」

 

「そうなると自分のやりたい店と・・」

 

「少しづつ違ってくるんです・・。」

 

それを聞いて俺は・・この男を信用しだした。

 

本音だからだ。

 

俺もチェーン店を経営していたのその気持ちは分かる。

 

自分のやりたい事だけでは店が満席になるのは大変だ。

 

色々な人に合わせなくてはいけない。

 

万民受けするお店・・・

 

それは・・経営のためとはいえ屈折した気持ちになる。

 

雅也さんが・・

 

「みやまさんみたいな店がやりたいんです。」

 

と言った。

 

俺はやるなら・・

 

「夫婦・・もしくは彼女とがいいですよ。」

 

「本気になって一緒にやってくれます。」

 

 

とアドバイスした。 

 

それから・・一年・・・彼は秋葉原のお店を閉めた。

 

 

そして西船橋の老舗お好み焼き屋を引き継いだ。

 

 

彼は初めの頃はかなり苦悩していたようだ。

 

 

先代の頃は行列がするほどの

 

お店を引き継いだわけだ

 

同じ事をやっていても

 

「あの頃は・・とか・・」

 

色々言われただろうことは想像できる。

 

でも彼は苦悩しながら

 

お好み焼きの生地にこだわり始めた。

 

自分で作ったお好み焼きを持ってきて

 

「食べてみてください!」

 

と言ってきた。

 

そして単刀直入に

 

辛さと旨みの関係を質問に来た。

 

本気だった。そして苦悩していた。

 

這い上がろうとしていた。

 

そこまで店主が真剣で

 

こだわるお好み焼きが美味しくない訳がない。

 

初めの頃は暇だったようだが・・

 

今では週末俺たちが行くと

 

激戦の後のような感じで

 

お店が忙しくなっている。

 

お客さんは正直だ。

 

本気で作っていると・・

 

お客さんがお客さんを呼んでくる。

 

いい店になっているようだ。

 

今では先代の娘さんで子供の頃から

 

お好み焼きを焼き続けている

 

矢野華風さんと

 

雅也さんに心酔する

 

名物ホールの平森一隆さんと

 

三人で美味しいお好み焼きやを経営している。

 

「いい店ができたな・・」

 

と俺とチャビママはいつも思っている。

 

そして最後に

 

誕生日は過ぎましたが・・

 

氷堂雅也さん誕生日おめでとうございます。

 

実りある年になりますように。