【第42話】たまには思い出ばなしでも

一本の電話が携帯になり何十年ぶりかに船橋の駅に降りた。

 

子供の頃に船橋ヘルスセンターに連れて行ってもらった以来だ。

 

駅から3分の場所にある

 

一階の居酒屋居抜き店舗と言う事だった。

 

俺は内心

 

「これは駅近だし南砂のときと同じチャンス掴んだんじゃねぇの俺!」

 

と勝手に考えていた。

 

歩いてその場所をさがした。

 

ぜんぜん見つからない・・・。

 

まさかこの怪しげな風俗街のほうじゃないだろうな・・

 

と思いながら教会の前を通り

 

一軒のビルの前に辿り着いた。

 

五階建てのビル。

 

見ると一階にはラーメン屋が営業していた。

 

隣の1階店舗はシャッターが閉まっていた。

 

二階には・・ピンサロ。 怪しいマッサージ。

 

3階にはマージャン屋と韓国スナック。

 

4階は空室だった。

 

目の前には空き地があり怪しげな車が駐車されていた。

 

まさか・・ここじゃないだろうな?と思ったが。

 

ビルの名前は時田ビル・・メモどおりだった。

 

今から7年前のあの周辺。バッチリ風俗街だった。

 

隣のビルはもちろんピンサロ。

 

店の前には呼び込みが立っていた。

 

今のように道路も整備されてなく細い通りは

 

薄暗く明らかに不自然なカップルが通りを歩いていた。

 

セリクラと書いてある看板がやけに明るく見えた。

 

俺は・・ここは無理だろ・・。と思った。

 

すると電話が鳴った。

 

税理士さんからだった。

 

「どう?宮間さん悪くないでしょ?」

 

「目の前に京成の入り口ができるらしいよ?」

 

と言われた。

 

俺は少し考えます。と言った。

 

二、三日後詳しい話を聞きに言った。

 

「前の経営者が奥さんの調子がわるくなり辞めたい。」

 

「出来れば引き継いでくれないか?」

 

と言った話だった。

 

断るつもりでいたのだが、俺の心とは逆に

 

「はい。良い場所ですね」とか答えていた・・。

 

内心・・「何言ってんだ!!!俺は・・・」

 

とか思っていたのだが・・・。

 

仕方がないので家に帰り自分を納得させる事に専念した。

 

「もしかしたら・・これはチャンスかもしれない」

 

「まぁ・・俺ならなんとかなるだろ・・。」

 

「そういえば・・劉さんがプラプラしてたな・・。」

 

とか色々プラスになる事を考えるようにした。

 

税理士さんの話は早く

 

「家賃はとりあえず今月から払っといて!」

 

みたいな話でトントンと進んでいった。

 

内装は1000万ね。とか言う感じだ。

 

その当時の銀行は1000万をすぐに貸してくれた。

 

現在は・・回収専門機関になった・・

 

そして土下座も効かない(笑)

 

今の俺なら直に行動するだろうが

 

その当時の俺は頭の中が

 

色んな経営者のハウツー本で占められた

 

能書きや野郎だったため

 

計画の立案ばかりで行動せず3ヶ月も店を寝かしておいた。

 

その時点で27万×3ヶ月分の87万円を

 

ドブに捨てているようなもんだった。

 

それなのに無駄に家賃を払いながら

 

年末は紅白を見ながら

 

缶ビールを飲んでいると言う

 

ご気楽振りを発揮してその年を終えた。