【第25話】たまには思い出話でも

養老の瀧が打ち出した 

 

焼き鳥専門店 一の酉。

 

やり方は二つ選べた。

 

 

一つは普通の値段の焼き鳥屋。

 

よくある一本130円から

 

だったか・・?

 

 

もうひとつは全品200円。

 

 

焼き鳥は二本で200円。

 

生ビールも200円。

 

つまみも200円。

 

 

その当時飲食業で

 

全品○百円と言うのは

 

成功したことがない・・

 

と言う事で話題になり

 

 

 

開店の日は

 

12チャンネルの

 

17:30からの

 

ニュースでも放映された。

 

 

 

そこでも俺はやらかして・・・

 

 

焼き鳥専門店なのに

 

ニュースキャスターに

 

マイクを向けられ

 

「朝から魚をさばくのが

 

大変ですが楽しいです!!」

 

 

と自信満々に答えていた(笑)

 

 

 

出だしは話題になり

 

二、三日は電話も鳴り止まず

 

こりゃ・・いいなぁ・・

 

なんて思っていた。

 

 

しかし商売の神様は

 

甘くなかった。

 

 

 

一週間もすると

 

お客さんはポツポツ・・・

 

 

こない・・・

 

 

あら・・

 

 

やばい・・・

 

そんな感じだった。

 

 

 

全品200円といいながら

 

焼き鳥はショボカッタし

 

生ビールは200円と

 

言いながら

 

グラスで出していたので

 

お得感がなかったと思う。

 

 

下町の人は敏感だった。

 

 

 

そこであの当時原価率が

 

70%もあったので

 

それを変えた。

 

 

 

焼き鳥を通常の値段と

 

おなじ大きさにして。

 

 

生ビールを大きいグラスにした。

 

原価率はそれでも

 

60%ぐらいあった。

 

 

 

そうすると

 

お客さんが付き始めた。

 

 

でもマダマダだった。

 

個人店で一番大事な

 

店主の人柄・・魅力が

 

発揮されていなかった。

 

 

 

会話の

 

キャッチボールもなかったし・・

 

 

ある日の6時半ごろ

 

 

 

ガラガラの店内に

 

ニッカポッカ姿

 

(鳶職が着る作業着)で

 

 

金髪でガタイのいい男が2人

 

入ってきた。

 

 

 

「俺たち・・大丈夫かな?」

 

と金髪の男は言った。

 

 

 

もう一人のデカイ男は

 

すでにお酒が

 

入っている感じだった。

 

 

バイトの中国人女性が

 

俺の顔を見た。

 

 

俺は一瞬考えたが・・・

 

 

「いいですよ。

 

生ビールにしますか?」

 

と答えた。

 

 

 

その瞬間が

 

運命の分かれ道だっただろう。

 

 

後になって気づいた。