【第21話】たまには思い出話でも

行きたくない・・・

 

と言いながらも

 

 

今さら辞めることもできず

 

養老会館にかよった。

 

 

しかし不思議なもので

 

ドリンクもオーダーに

 

追われる毎日に

 

少しづつコツがわかっきて

 

提供できるようになった。

 

 

一週間過ぎた頃

 

その場にいた調理長が

 

逃げ出さなかった俺を

 

少しは使えそうかと

 

思ったのか

 

 

「ここに賄い用のジャガイモと

 

人参があるので切って見ろ。」

 

と言われた。

 

 

小学校以来の調理だった。

 

 

正直・・・

 

大人になって包丁なんて人を

 

脅かす道具ぐらいに

 

思っていた。最悪だ。

 

 

ジャガイモとニンジンを

 

四苦八苦しながら切った。

 

できあがりは

 

今考えると

 

ヘタクソだったのだろう・・・

 

 

後は焼台に回された。

 

 

 

ここは調理場から

 

離れてお客さんの前で

 

焼くところだった。

 

 

 

これが何気にうれしかった。

 

 

 

なぜなら後に

 

調理長がいないので

 

気が楽だったからだ。

 

 

そこには前任者がいた。

 

 

名前はわすれたが中国人だった。

 

 

 

兄弟で養老の滝チェーン店を

 

3・4軒やっているのだが、

 

その男はいま一つ技量が

 

たりなかったというか

 

素行不良だったのか

 

本部会館で

 

修行させられていた。

 

 

 

おもしろいやつだったし

 

なぜか気があった。

 

 

その男は技量が

 

あるのだがなぜか・・・

 

サイコロステーキになると

 

失敗する。必ずだ。

 

 

不思議におもっていた。

 

 

 

ある時、失敗したサイコロステーキは

 

賄いにまわされた。 

 

 

そいつはサイコロステーキが

 

大好きだった。

 

 

そう・・自分が食べたいので

 

わざと失敗していた。

 

 

そのうち俺も

 

サイコロステーキが好きになった。

 

今考えると

 

その当時の俺は・・

 

恥ずかしい。

 

 

そんな感じで

 

俺の飲食業人生は

 

走り始めていた。